振動台実験レポート:伝統木造建物
2007年1月30日(火)および2007年2月2日(金)にE-Defenseにおいて、実大伝統木造建物の震動台実験が行われました。
独立行政法人防災科学技術研究所(理事長:岡田義光)は、京都大学防災研究所(鈴木祥之 教授)と共同で、兵庫県三木市の兵庫耐震工学研究センター内の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)において、実大の伝統木造建物(切り妻屋根:瓦葺、柱脚:土台なし、足固め)の2棟を用いた震動台実験を行いました。この実験は、文部科学省の「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として取り組んでいる「震動台活用による構造物の耐震性向上研究 木造建物実験」の一つです。
弊社も、この公開実験を見学してきましたので、その様子をご紹介します。
実験概要
主催
独立行政法人 防災科学技術研究所(防災科研)
京都大学 防災研究所(鈴木祥之 教授)
実施日時
2007年1月30日(火) 13:00~14:30
2007年2月2日(金) 13:00~14:30
実験目的
Eディフェンス (兵庫県三木市)
実験目的
- 柱脚の仕様
土台あり、土台なし(足固め)による揺れの違い - 偏心率
壁配置による偏心の大きさによる揺れの違い - 小屋組の仕様
切り妻屋根の架け方による揺れの違い
実験方法および実験結果
2007年1月30日(火)13:00~14:30
実大伝統木造住宅(切り妻屋根:瓦葺、柱脚:土台なし、足固め)の2棟を用いて地震時挙動と耐震性能を調べました。
14:00より地震波を加振し(合計6回)、建物の揺れを観測しました。 加振時の建物の状況については以下の通りです。
- 長手方向に加振
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BCJ波 100Gal長手・・・目視できる変化はなかった
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BCJ波 200Gal長手・・・建物がゆっくりと揺れた
柱脚にずれは見られなかった
加振後、目視できる破損はなかった
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- 短手方向に加振
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BCJ波 100Gal長手・・・ 目視できる変化はなかった
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BCJ波 200Gal長手・・・ 建物がゆっくりと揺れた 柱脚にずれは見られなかった 目視できる外傷はなかった
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BCJ波 300Gal短手・・・ 建物が左右に大きく揺れた 柱脚が横にずれた 加振後、目視できる破損はなかった
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- 3次元加振
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JMA Kobe波(50%)・・・ 建物は上下左右に大きく揺れた 柱が音をたててきしんだ 柱脚が横にずれた 加振後、目視できる破損はなかった
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切り妻小屋組みの架け方による揺れの違いについて、目視できる範囲では確認することができなかった。
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全ての加振終了後も、建物に目視できる破損はなかった。
2007年2月2日(金)13:00~14:30
実大伝統木造住宅(切り妻屋根:瓦葺、柱脚:土台なし、足固め)の2棟を用いて地震時挙動と耐震性能を調べました。前回実験(1/30)建物の短手方向に壁を追加して、偏心させています。
14:00より地震波を加振し(合計6回)、建物の揺れを観測しました。
加振時の建物の状況については以下の通りです。
- 長手方向に加振
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BCJ波 100Gal長手・・・目視できる変化はなかった
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BCJ波 200Gal長手・・・建物がゆっくりと揺れた
柱脚にずれは見られなかった
加振後、目視できる破損はなかった
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- 短手方向に加振
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BCJ波 100Gal長手・・・ 目視できる変化はなかった
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BCJ波 200Gal長手・・・ 建物がゆっくりと揺れた 柱脚にずれは見られなかった 目視できる外傷はなかった
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BCJ波 300Gal短手・・・ 建物が左右に大きく揺れた 柱脚が横にずれた 加振後、目視できる破損はなかった
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- 3次元加振
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JMA Kobe波(50%)・・・ 建物は上下左右に大きく揺れた 柱が音をたててきしんだ 柱脚が横にずれた(1本は折損した) 壁の損傷は見られなかった
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礎石建て、足固めの柱脚が、滑る(ずれる)ことによって地震動を吸収していたと思われる。
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小壁の耐震性が確認でき、壁の損傷は見られなかった。
用語解説
BCJ波:(財)日本建築センターで策定された設計用入力地震動
JMA Kobe波:1995年兵庫県南部地震で神戸海洋気象台で記録された地震波
E-Defenseによる実大伝統木造建物の震動台実験
2007年1月30日(火) 13:00~14:30
2007年2月2日(金) 13:00~14:30
試験体の説明
試験体の大きさは、縦横が約6m×11m、高さ5mの平屋建てで小壁を多用した開放的な間取りです。柱脚は礎石建ちとし、接合部には金物を使用していません。軸組には差鴨居を用いた構造形式で、屋根には瓦が敷かれた伝統的構法で建てられています。試験体は、妻入り試験体(左側)と平入り試験体(右側)の2体です。
2007年2月2日実験では、建物の短手方向に壁を追加して、偏心させています。