振動台実験レポート:伝統構法住宅(京町家)
平成17年度文部科学省大都市大震災軽減化特別プロジェクト木造建物倒壊実験として、 戦前に建てられて京都市内から移築した京町屋、移築した住宅と同じ軸組で現在の建築基準法に適合した新築した京町家、計2棟の住宅に対して、(財)日本建築センターで策定された設計用入力地震動を地震波として水平1方向に与え(震度6強相当)、両建物を比較するという実験が行われました。
今回、弊社もこの実験を見学し、また、弊社ソフトウェアの振動アニメーションを使用して映像を再現し、建物の揺れ方について検証を行いました。
実験概要
主催
独立行政法人防災科学技術研究所(防災科研)
実施機関
独立行政法人防災科学技術研究所、兵庫耐震工学センター、京都大学防災研究所、金沢工業大学、関西大学、広島国際大学、福山大学、大阪府立工業高等専門学校、豊田工業高等専門学校 ほか
実施日時
2005年10月25日(月)~2005年11月10日(木)
場所
Eディフェンス (兵庫県三木市)
実験目的
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京町家の振動特性と耐震性能を明らかにする。
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移築京町家に施した耐震補強の効果を検証し、耐震補強設計法の妥当性を調べる。
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新築京町家の耐震性能を検証し、耐震設計法の妥当性を調べる。
実験方法
戦前に建てられ京都市内から移築した京町家、移築した住宅と同じ軸組で現在の建築基準法に適合し新築した京町家、計2棟の住宅に対して以下の2通りの実験しました。
- 補強を施していない移築京町家と新築の京町家を様々な大きさで加振することによって、損傷状況や移築京町家と新築京町家の耐震性能を調べました。
- 補強を施した移築京町家と新築の京町家を震度6強相当で加振することによって、損傷状況や耐震補強の効果、京町家自体の耐震性能を調べました。
実験地震
300Gal程度の最大加速度を持つ地震波 水平1方向
E-Defense倒壊実験 [実験2の様子]
新築京町屋 | 移築京町屋 |
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移築と同じ規模の京町家であるが、両側壁通りの半柱を本柱に、大壁を真壁に、柱―梁接合部など仕口部は変形性能の大きな仕様に変更・改善を加えて新築。 | 昭和7年に建築された京町家を解体・移築。なお、増改築部分などは本来の姿に復旧し、また腐朽・蟻害など傷みが顕著な材は更新。はしご型フレーム等により耐震補強を施した。 |
【実験結果】 | 【実験結果】 |
大きな損傷は見られず、現行の建築基準法に適合していれば、震度6強程度の地震では、倒壊しないことが検証された。 | 玄関側壁面の一部が崩れたものの大きな損傷はなく、倒壊はしない。耐震補強の効果が検証された。 |