耐震改修促進法と耐震診断

1995年(平成7年)1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では6,400人を超える方が犠牲となり、約21万棟の家屋が全半壊しました。また、亡くなられた人の8割弱が建築物の倒壊等による圧迫死であり、その9割が古い木造住宅であったと報告されています。
建設省(現国土交通省)の建築震災調査委員会の報告によれば、建築物の被害の傾向をみると現行の新耐震基準(1981年(昭和56年)施行)以前に建築された建築物に被害が多く見られ、一方、それ(1981年(昭和56年))以降に建築された比較的新しい建築物の被害の程度は軽く、現行の新耐震基準は概ね妥当であると考えられています。
この教訓をもとに1995年(平成7年)12月25日に「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が施行され、現在の新耐震基準を満たさない建築物について積極的に耐震診断や改修を進めることとされました。
さらに、2005年(平成17年)10月28日に改正耐震改修促進法が 成立し、2006年(平成18年)1月に施行されました。大規模地震に備えて学校や病院などの建築物や住宅の耐震診断・改修を早急に進めるため、数値目標を盛り込んだ計画の作成が都道府県に義務付けさえることとなりました。国土交通省は、建築物の耐震化率を今後10年で90%に引き上げる目標を柱とする基本方針を施行までに策定し、都道府県は、方針に基づき2006年中に計画作成をします。計画には、90%の目標を達成するため、(1)住宅などをどれだけ耐震化するか(2)耐震改修の補助などの財政支援や啓発活動にどう取り組むか-などを盛り込まれています。

目的

この法律は、地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、建築物の耐震改修の促進のための措置を講ずることにより建築物の地震に対する安全性の向上を図り、もって公共の福祉の確保に資することを目的としています。

所有者の努力義務

この耐震改修促進法では、特定建築物の所有者は、建築物が現行の新耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するよう耐震診断や改修に努めることが求められています。
特定建築物とは現行の新耐震基準に適合しない建築物(一般に1981年(昭和56年)5月以前に建築確認を受けたもの)のうち、学校、病院、ホテル、事務所その他多数のものが利用する建物のうち、3階建以上でかつ床面積が1,000㎡以上の建築物をいいます。
上記事項は、鉄筋コンクリートや鉄骨造に関してのことです。
床面積が1,000㎡以上というのは、木造住宅においてはほとんどありませんが、阪神・淡路大震災の教訓からすれば、木造住宅においても、耐震診断が重要であるといえます。

耐震改修促進法と木造住宅の耐震診断

一般的な木造住宅においては、上記耐震改修促進法における特定建築物には該当しませんが、各自治体では耐震診断・耐震改修に対して補助・融資を実施しています(国が一部補助)。
木造住宅においても、1981年(昭和56年)の新耐震基準以前には耐震性能の規定が甘かったため、これ以前に建てられた建築物を中心に耐震化を図るのが狙いです。大震災を経験した関西圏を中心に、大地震が想定される東京や東海でも耐震診断の補助制度が整備されています。
補助対象となる建築物は各自治体で異なりますが、概ね「1981年(昭和56年)以前に建築されたもの」とされています。
補助の内容としては、耐震診断費用への補助が圧倒的に多く、改修には融資のみという自治体が大半です。
とにかく、自治体に問い合わせてみることが大切であると言えるでしょう。

平成18年1月施行 改正耐震改修促進法のポイント

改正耐震改修促進法により、数値目標を盛り込んだ計画の作成を都道府県に義務付けられることになったこともあり、これまでの自治体ごとに行われていた耐震診断・耐震改修に関する補助・融資制度等が、全国的に展開されるほか、建築物に対しうる指導の強化や、耐震改修支援センターの設置など支援措置の拡充も盛り込まれています。
国土交通省「建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律」の施行について

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