GX志向型住宅とは

「GX志向型住宅」とは、高い断熱性能と高効率給湯器などの設備の導入により一次エネルギー消費量を削減し、太陽光発電など再生可能エネルギーを活用して一次エネルギー消費量の削減率100%以上を目指す住宅です。
令和5年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に基づき、「GX志向型住宅」の普及促進を含む、住宅の省エネ化の支援を強化するための補助制度が盛り込まれた令和6年度補正予算案が、令和6年11月22日に閣議決定されました。 省エネ住宅の基準として「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」がありますが、「GX志向型住宅」の基準はそれを大きく上回るもので、2030年度の「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化、2050年のカーボンニュートラルの実現を見据えて、国が住宅の省エネ化の支援を打ち出しています。

GX志向型住宅の要件

GX志向型住宅は、以下の3つの要件を満たす必要があります。

① 断熱性能等級6以上

断熱等性能等級は「UA値(外皮平均熱貫流率)」と「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」で決まります。断熱等性能等級6のUA値(地域区分5、6、7)は0.46以下である必要があります。

断熱等性能等級と基準値
等級 基準
地域区分
1 2 3 4 5 6 7 8
断熱等性能等級7 UA 0.20 0.20 0.20 0.23 0.26 0.26 0.26
ηAC 3.0 2.8 2.7
断熱等性能等級6 UA 0.28 0.28 0.28 0.34 0.46 0.46 0.46
ηAC 3.0 2.8 2.7 5.1
断熱等性能等級5 UA 0.40 0.40 0.50 0.60 0.60 0.60 0.60
ηAC 3.0 2.8 2.7 6.7
断熱等性能等級4 UA 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
ηAC 3.0 2.8 2.7 6.7

② 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率が35%以上

高効率のエアコンや給湯器、LED照明などを利用して、一次エネルギー消費量(暖冷房、換気、給湯、照明など住宅で使うエネルギー消費量)を削減する必要があります。
基準となる外皮性能、設備の種類及び仕様をもとに計算した一次エネルギー消費量(基準一次エネルギー消費量)から35%以上削減することが求められます。

再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率が35%以上

③ 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上

高効率設備の利用により35%以上削減された一次エネルギー消費量は、自家消費分のエネルギー消費量となります。
太陽光発電システム等の設置によってこの自家消費分のエネルギー消費量以上の再生可能エネルギーをつくること、すなわち、削減した一次エネルギー消費量と生成した再生可能エネルギー量によって、基準一次エネルギー消費量の削減率が100%以上となることが求められます。
なお、寒冷地等の戸建て住宅の場合、この削減率は75%以上とされています。

再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が100%以上

ZEH・長期優良住宅との違い

省エネ性能が高い住宅にはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅があります。
GX志向型住宅との違いは以下をご覧ください。

ZEH GX志向型住宅同様、強化したUA値の基準適合や高効率設備の利用による一次エネルギー消費量の削減、再生可能エネルギーを含んだ削減率100%以上という要件があるが、 UA値の基準(断熱等性能等級5相当)・再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率(20%以上)はGX志向型住宅を下回る。
長期優良住宅 省エネ性能においては「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」が求められる。
省エネ性能以外にも耐震性や耐久性、維持管理のしやすさなどの要件が求められる。

GX志向型住宅を対象とした補助金

令和6年度補正予算案に、住宅の省エネ化への支援を強化するための補助制度として「子育てグリーン住宅支援事業」が盛り込まれました。名称は「子育て」とありますが、GX志向型住宅を新築するすべての世帯が対象で、1戸あたり最大160万円の補助金が受けられます。

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