[仕様規定と構造計算] 構造計算すると梁せいはこれだけ変わる!
検証モデル
設計条件(使用樹種)
樹種:ベイマツ 製材(無等級)
基準強度Fb=28.2N/mm2
ヤング係数E=9,807N/mm2
検証1:たわみ制限値(1/250→1/450)の比較
設定条件
条件A:建築基準法レベル
たわみ制限値:L/250または20mm以下
条件B:「新グレー本」レベル
たわみ制限値:L/300または20mm以下
条件C:ホームズ君推奨レベル
たわみ制限値:L/450または10mm以下
考察
梁の断面は、たわみにより決定される場合が半数以上であり、たわみの制限値は非常に重要な意味を持つ。平12建告1459号では、スパンに対して1/250以下となっているが、これはあくまでも最低の基準である。床を歩いて、たわみによる不快感を感じないのは、10㎜以下であるといえよう。そこで仮にスパンが2間(3,640mm)の場合で検証した。
条件Aの場合では、20mmまでたわみを許すこととなる。よって、10mmを限度とするなら、条件Cが望ましいということになる。
検証2:製材と集成材の比較
設定条件
条件A:ベイマツ 製材(無等級)
条件B:ベイマツ 集成材(E120-F330)
考察
床梁や胴差の断面は、基準曲げ強度Fbおよびたわみに関係するヤング係数Eにより決定される。よって、それぞれの値がより大きくなるほど、断面を小さくすることができる。
無等級製材を集成材E120-F330にすると、それぞれの部位において1ランク(30㎜)ほど断面を小さくすることが可能であることが、このグラフから分かる。
検証3:積雪荷重(0.3→2.0m)による比較
設定条件
条件A:一般区域(垂直積雪量0.3m)
条件B:多雪区域(垂直積雪量1.0m)
条件C:多雪区域(垂直積雪量2.0m)
考察
床梁や胴差において、屋根荷重を負担しているか否かの見極めが重要。屋根荷重を負担している場合は、積雪量により大きく梁せいが変化するので注意が必要になる。屋根荷重の見極めが困難な場合は、屋根荷重を負担するものとする安全側の考慮が必要となる。
検証4:屋根荷重負担の有無による比較
設定条件
条件A:屋根荷重負担のない梁 D
条件B:屋根荷重負担のある梁 E
条件A:梁D(屋根荷重負担なし) | 条件B:梁E(屋根荷重負担あり) | |||
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積雪区分/積雪量 | 計算値 | 規格材 読替え | 計算値 | 規格材 読替え |
一般区域(0.3m) | 229mm | 240mm | 265mm | 270mm |
多雪区域(2.0m) | 229mm | 240mm | 336mm | 360mm |
考察
ともに、スパン長は2間で、2階の柱を1本負担しているが、条件Bは屋根荷重を負担し、条件Aは屋根荷重は負担していない。
切妻、寄棟などの屋根形状、同じ寄棟でも小屋組により荷重負担はさまざまである。屋根荷重を負担しているか否かは、断面に大きく影響する。
スパン表を利用する場合も、屋根荷重を負担しているかの見極めに十分に注意する必要がある。安全を期すためには、柱が載る場合は、過剰設計にはなるが、常に屋根荷重を負担するものとして設計するとよい。