[2025年法改正] 4号特例見直し、構造基準の改正

【注意事項】今後、正式に公布される政省令・告示とは異なる部分もあり得ることや、政省令・告示の施行まで は現行規定への適合が求められることにご注意ください。

■ 2025年法改正のポイント!

  • ZEH化などのために建物重量が増加傾向にあるため、約40年ぶりに必要壁量が見直される。
    ZEH水準の建物は、必要壁量が増える

  • 「柱の小径」についても規定が見直される。(詳細は下記「構造基準の改正 2)柱の小径」参照)
    ZEH水準の建物は、必要となる柱の小径が大きくなる

  • 「構造計算(許容応力度計算)」を行う方法もある。

  • 2階建ての木造住宅の場合は、従来通り「仕様規定(壁量計算、壁の配置、N値計算、柱の小径)」のチェックを行えば良いので計算項目は増えない。

4号特例見直し

改正趣旨

すべての建築物に義務付けられる省エネ基準への適合(建築物省エネ法の2025年法改正)や、省エネ化に伴い重量化する建築物の構造安全性の基準への適合を、審査プロセスを通じて確実に担保し、消費者が安心して建築物を取得できる環境の整備として、木造建築物の建築確認検査や審査省略制度の対象が見直され、非木造と同様の規模となる予定です。

国交省 4号特例縮小資料(1) 国交省 4号特例縮小資料(2)
出典:国土交通省

4号特例(2025年法改正前)とは

  • 4号特例とは、現行法の4号建築物(2階建て以下の木造住宅等の小規模建築物)に対する緩和措置のことです。

  • 2階建て以下の木造住宅等の小規模建築物については、都市計画区域等の区域内で建築確認の対象となる場合でも建築士が設計を行った場合には、建築確認の際に構造耐力関係規定等の審査を省略することとなっています。

  • また、それらの建築物について建築士である工事監理者が設計図書とおりに施工されたことを確認した場合には同様の規定に関し検査を省略することとなっています。

※建築基準法第6条第1項第4号に該当する建築物(いわゆる「4号建築物」)

4号特例 2025年法改正後の変更点

建築士が設計(工事監理)した4号建築物に対する審査(検査)項目
法改正前 法改正後
敷地関係規定 ○ 審査する ○ 審査する
構造関係規定 × 審査しない※1

○ 審査する

防火避難規定 ○ 審査する ○ 審査する
設備その他
単体規定
△ 一部審査する※2 △ 一部審査する※2
集団規定 ○ 審査する ○ 審査する

※1:ただし、仕様規定以外(構造計算等)は審査する

※2:シックハウス、昇降機、浄化槽、排煙設備及び区画貫通部は審査する

出典:国土交通省の資料を元に作成

確認申請に必要な図書(2025年法改正後)

確認申請に必要な図書

構造基準の改正(壁量計算・柱の小径)

1)壁量計算(令第46条)の改正

木造建築物における省エネ(ZEH)化等による重量化に対応するため、建築基準法施行令等の改正 を行い、必要な壁量等の基準(ZEH壁量等基準)を位置づけることを予定しています。改正法が2023年10月に公布、2025年4月に施行される予定です。

国交省 ZEH水準 構造基準の改正資料(1) 国交省 ZEH水準 構造基準の改正資料(2)
出典:国土交通省

改正後は、令第46条の壁量計算の方法として以下の方法①~③のいずれかを行うことになります。
方法①、方法②は従来の壁量計算の改正で、方法③は別途構造計算を行う事で壁量計算を省略する方法です。

  • 方法①:荷重の実態に応じて 必要壁量を求める精緻な方法

  • 方法②:簡易に必要な壁量を確認する方法

  • 方法③:構造計算(許容応力度計算等)により安全性を確認する方法

方法①:荷重の実態に応じて 必要壁量を求める精緻な方法
  • 屋根、外壁、太陽光パネルの仕様、階高、床面積比、積雪量などを考慮

  • ※仕様の組合せに応じて必要壁量が把握できる早見表やExcelツールが配布される予定

必要壁量の試算例
出典:(一財)日本建築防災協会
方法②:簡易に必要な壁量を確認する方法
  • 現行の壁量の確認方法に新たに「ZEH水準等の建築物」に対応する基準を追加

平屋 2階建て
1階 2階
軽い屋根 11 29 15
重い屋根 15 33 21
ZEH建物

25

53

31

出典:国土交通省の資料を元に作成
方法③:構造計算(許容応力度計算等)により安全性を確認する方法
  • 構造計算(許容応力度計算等)により安全性を確認する場合は、壁量計算を省略可能

2)柱の小径(令第43条)の改正

「柱の小径」においても新たに「ZEH水準等の建築物」の規定が追加されます。
構造計算(柱の座屈検討)により安全性を確認する場合は「柱の小径」の確認を省略可能です。

柱の小径の基準:横架材相互の垂直距離に対する割合

2階建ての場合

1階 2階
軽い屋根 1/30 1/33
重い屋根 1/28 1/30
ZEH建物

1/25

1/28

ZEH建物(多雪区域※)

1/20

1/22

※多雪区域は、垂直積雪量が2m未満まで適用可能。
 2mを超える場合は、令第43条第1項のただし書による構造計算により確認する。

出典:国土交通省の資料を元に作成
横架材相互の垂直距離

■ 柱の小径 試算例(2階建ての1階の場合)

  • 軽い屋根:横架材相互の垂直距離を2,800mmとした場合
    柱の小径 ≧ 2,800mm×(1/30) = 93mm

  • ZEH建物:横架材相互の垂直距離を2,800mmとした場合
    柱の小径 ≧ 2,800mm×(1/25) = 112mm

  • ZEH建物(多雪区域):横架材相互の垂直距離を2,800mmとした場合
    柱の小径 ≧ 2,800mm×(1/20) = 140mm

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