◆テスト0417|令和6年(2024年)能登半島地震

令和6年(2024年)1月1日に発生した能登半島地震に関する特設ページです。地震の概要・特徴から、地震への備えについての情報等をまとめています。情報は随時更新してまいります。

ページ開設日:2024年01月12日

最終更新日:2024年04月16日

地震の情報

1. 東京都市大学 大橋好光名誉教授コメント(2024年1月28日)

能登半島地震による建築物や住宅の被害状況の調査については、まだこれからという段階ですが、非常に大きな被害があったことは、皆様、報道等で見聞きされていることと思います。
そこで、現段階までの情報をもとに、インテグラルが日頃より木質構造、耐震技術等の面で技術指導をいただいている、東京都市大学 大橋好光名誉教授よりコメントをいただきましたのでここに掲載いたします。
(以下抜粋、全文はこちらより)

能登半島地震について
2024年1月28日 大橋好光

 能登半島地震による被災者の皆様に、心より哀悼の意とお見舞いを申し上げます。地震により、またこのような大きな被害が生じたこと、建物の耐震の関係者として残念でなりません。この地震に関して、私なりに次の3点をコメントしたいと思います。

1.やはり「大地震」は何度もくる

 1月1日16時10分に発生した地震は、マグニチュード7.6。図1、図2はその地震の震度分布を示している。最大震度は7。これ以上の震度はない、最上級の震度だ。また図2より揺れが本州全体に広がっていることが分かる。また震源は16kmの深さと伝えられている。マグニチュードが大きく深さが浅い、まさに直下型の大地震である。
 日本で、地震の揺れによって大きな被害を生じた地震には、1948年の福井地震(マグニチュード7.1)、1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災、マグニチュード7.3)などがある。また、記憶に新しい2016年4月の熊本地震はマグニチュード7.3、深さ12km。いずれもマグニチュードが7.0を超え、震源が浅い、直下型という共通点がある。
 そして、熊本地震で示された「大地震は何度もくる」が、能登半島地震でも繰り返されている。熊本地震では、震度7が2回、震度6強が2回、震度6弱が3回、震度5強が4回発生した。今回も、1月6日までに震度7が1回、6弱が1回、震度5強が7回発生している。震度6強、6弱が熊本地震より少ないのは、本震がマグニチュード7.6と大きく、地震のエネルギーの大部分が本震で発散されたためとも考えられる。逆にいえば、それだけ今回の本震が強烈だったのだ。
 ちなみに、能登地方では、2022年6月に震度6弱、2023年5月に震度6強の地震も発生している。「建築基準法の想定する大地震」は、せいぜい震度6強の下の方である。震度7は想定していない。地震活動の活発な地震群では、建築基準法の想定する程度の「大地震」は、1回ではすまないと考える必要がある。
図1、図2
 出典:【地震調査研究推進本部】令和6年能登半島地震の評価(2024.1.15)

2.耐震改修と「みんなで住む家」
3.新築建物は「大地震でも倒壊しない建物にしよう」

全文はこちらより(PDF) 東京都市大学 大橋好光名誉教授コメント(2024年1月28日)

2. 地震の概要

石川県能登地方では、2018年頃から地震回数が増加傾向にあり、2020年12月から地震活動が活発になり、2021年7月頃からさらに活発になっていた。2023年5月5日にはM6.5の地震(最大震度6強)が発生し、以降、地震活動がさらに活発になっていたが、時間の経過とともに地震の発生数は減少していた。

このような中で、2024年1月1日16時10分に石川県能登地方の深さ16kmでM7.6の地震(最大震度7)が発生し、石川県志賀町で震度7を観測したほか、北陸地方を中心に北海道から九州地方にかけて震度6強~1を観測した。また、石川県能登で長周期地震動階級4を観測したほか、北陸地方を中心に東北地方から中国地方にかけて及び徳島県で長周期地震動階級3〜1を観測した。

気象庁はこの地震に対して、最初の地震波の検知から6.0秒後の16時10分16.0秒に緊急地震速報(警報)を発表した。気象庁はこの地震に伴い、16時12分に新潟県、富山県及び石川県に津波警報を、北海道日本海沿岸南部から山口県にかけての日本海沿岸に津波注意報を発表した。また、16時22分に石川県能登を大津波警報に切り替え、山形県、福井県及び兵庫県北部を津波警報に切り替え、北海道太平洋沿岸西部、北海道日本海沿岸北部及び九州地方の日本海沿岸に津波注意報を発表した(2日10時00分に解除)。

この地震により、石川県の輪島港で1.2m以上(速報値)の津波を観測するなど、北海道から九州地方にかけて、日本海沿岸を中心に広い範囲で津波を観測した。

この地震は地殻内で発生した。発震機構(CMT解)は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。この地震の震央周辺では、同日16時18分にM6.1の地震(最大震度5強)、6日23時20分にM4.3の地震(最大震度6弱)、9日17時59分にM6.1の地震(最大震度5弱)が発生するなど活発な地震活動が継続しており、地震活動域は北東-南西方向に延びる約150kmの範囲に広がっている。今回の地震活動域では、1月1日16時以降、15日08時までに震度1以上を観測した地震が1,398回(震度7:1回、震度6弱:1回、震度5強:7回、震度5弱:7回、震度4:41回、震度3:150回、震度2:370回、震度1:821回)発生した。これらの地震により、死者213人などの被害が生じた(2024年1月12日07時40分現在、総務省消防庁による)。

出典:地震調査研究推進本部(文部科学省研究開発局地震・防災研究課) 地震調査委員会
   令和6年能登半島地震の評価 令和6年1月15日付
最大震度5強以上を観測した地震の発生状況 (2024年1月6日時点)
発生時刻 震央地名 マグニチュード 最大震度
1 2024年01月01日 16時06分 石川県能登地方 5.5 5強
2 2024年01月01日 16時10分 石川県能登地方 7.6 7
3 2024年01月01日 16時12分 能登半島沖 5.7 6弱
4 2024年01月01日 16時18分 石川県能登地方 6.1 5強
5 2024年01月01日 16時56分 石川県能登地方 5.8 5強
6 2024年01月01日 18時08分 能登半島沖 5.8 5強
7 2024年01月02日 17時13分 能登半島沖 4.6 5強
8 2024年01月03日 02時21分 石川県能登地方 4.9 5強
9 2024年01月03日 10時54分 石川県能登地方 5.6 5強
10 2024年01月06日 05時26分 石川県能登地方 5.4 5強
11 2024年01月06日 23時20分 能登半島沖 4.3 6弱

学ぼう!ホームズ君 – 震度階級解説表

出典:【気象庁】令和6年能登半島地震の関連情報
被害の状況 (2024年4月16日時点)
人的被害 [人] 建物(住宅)被害 [棟]
死者 重軽傷 全壊 半壊 一部破損
245 1,302 8,536※ 19,015※ 88,968※

※石川県の市町村において、内訳が未判明の分は含まれず
 参考:現在の石川県の住宅被害総数:76,930棟(2024/4/16 14:00現在)

出典:【内閣府防災情報】令和6年能登半島地震による被害状況等について

参考:2020年以降、能登半島では地震活動が活発化していました。

図1:2020年12月1日~2023年12月31日まで
   最大震度3以上の地震を検索して表示した
2020年12月1日~2023年12月31日まで最大震度3以上の地震

図2:図1について、能登半島拡大
図1について、能登半島拡大
図3:2024年1月1日~13日、最大震度3以上の地震を検索して表示した
2024年1月1日~13日、最大震度3以上の地震 出典:【気象庁】震度データベース

3. 群発地震による累積ダメージと耐震性

  • 「この地域は2020年以降、震度5以上の揺れに5回も見舞われています。そこに今回、それらを上回る大きな揺れが来た。家屋に累積されていた揺れによるダメージが一気に被害を広げたとみています」※1
  • 「震度4以上の揺れを受けた木造住宅には、何らかのダメージが残っていると考えるべきです。」※1
  • 熊本地震でも2度の震度7の揺れがあり、直接的な被害で亡くなった方のほとんどは2回目の震度7によるものだった※2
出典:※1 【朝日新聞デジタル】2024/1/8版 河田恵昭(京都大学教授、人と防災未来センター長)
     本記事の抜粋は、朝日新聞社および河田恵昭様の許諾のもと転載しています。
   ※2 【インテグラル】平成28年(2016年)熊本地震 調査報告(木造住宅)

4. 現地建物被害調査

第一次調査 (富山県 氷見市、石川県 七尾市) 2024年2月1日付速報
  • 建物被害の竣工年代別の分析を目的として、富山県氷見市北大町を中心に調査を行った。
  • インフラ復旧中の石川県七尾市一本杉通り周辺については、15分程度の短い滞在時間で行った。
  • 地震による建物の被害状況(含む、無被害)の把握を目的に行った。
調査日 2024年1月29日(月)・30日(火)
調査地 富山県 氷見市北大町、姿、および、石川県 七尾市一本杉通り周辺
調査者 株式会社インテグラル 藤間明美(二級建築士、震災建築物の被災度区分判定・復旧技術者)

※写真の数が多いためスマートフォンでは表示できない場合があります。その場合はパソコンでご覧ください。

<富山県 氷見市北大町地区>

  • 氷見市の最大震度は5強、住宅被害は全壊62棟、半壊75棟、一部損壊が392棟と報告されている。(2024/2/1現在)
  • 氷見市のメインストリートである、潮風通り商店街の北大町地区に、外観目視上ではあるが、大破~中破レベルの被害が多くみられた。
  • この商店街は古い建築物が多く、建物は商店の構えで、間口いっぱいに大開口になっている店舗併用住宅が多く、建築年代としては古いものが多いと見受けられた。
  • 商店街は、氷見駅を中心に南北に約1m続いているが、被害は上庄川を越えた北側に位置する比見町、栄町、北大町に集中していた。
  • 応急危険度の判定は、1月5日、6日ごろには終了しており、『基礎の一部に被害』や『不同沈下による建物の傾斜』『落下物に注意』などのメモが多かった。
  • 応急危険度判定は、地震で被害を受けた建築物について、その後の余震等による倒壊や落下・転倒危険物等の危険度を判定して、その結果を表示し、住民や歩行者等に危険情報を提供することが目的であるので、建物自体に被害がなくても、敷地に隣地のブロックが倒れてきている、といった状況でも黄色になる。緑は二次被害からの安全性が確認されているものだ。
  • 応急危険度判定のステッカーは赤・黄色・緑で、感覚ではあるが、おおよそ、1/3ずつであった。黄や緑の住宅の築年は、あくまで、感覚的ではあるが、築20年以内のもの、赤のステッカーが貼られている住宅の築年は、築40年を経過しているものも多いと思われた。店先の外観だけ改装・改築して、一見新しく見えるものにも赤の判定のものがあった。施主に尋ねたところ、店の奥に古い建物がつながっていて、そこの被害が大きいということだった。
  • この北大町は、海岸線からは100mほど離れているが、今の海岸線は再開発によってできた海岸線であり、旧海岸線の名残をとどめる消波ブロックからは約20mしか離れていない。2012年に竣工した道の駅”ひみ番屋街”の駐車場の液状化はニュースでも話題になっていたが、埋め立てた土地に建築されたものである。幸い、建物は無被害で既に営業を再開している。ここに隣接している北大町は、旧防波堤を挟んで地続きであり、液状化の影響と思われる地盤のずれがあちこちに発生していた。この影響か、古い建物の基礎の被害が多く発生していた。
  • 先にも述べたとおり、”ひみ番屋街”は無被害であったし、同地区の築浅の建築物についても、健全と思われるものがあり、近年の耐震性が確保されていた建築物は耐えたと思われた。

<富山県 氷見市姿地区>

  • この地区は、氷見市北部にあり、国道160号線沿いで、海岸に近い海抜4mに位置する、30軒~40軒ほどの集落である。
  • 1階が潰れていたり、大きく傾いた、全壊の被害が多くみられた。
  • ここでも、全壊した建物に隣接していても、安全と確認されている住宅や、無被害に見える住宅がみられた。

<石川県 七尾市一本杉通り地区>

※七尾市は断水が続いており、インフラの復旧が優先されている。このため、市内には15分程度の滞在とし、可能な限りの写真を撮影した。

  • 七尾市は、最大震度6強、住宅被害は約11,200棟と報告されている。(2024/2/1現在)
  • この地区は、七尾市の中心部にあり、300m四方程度の面積に、碁盤の目に道路が交差しており、商店や、もと商店と思われる建物が多くみられた。
  • 氷見市に比べて、比較的、全壊が目立った。全壊した建物に隣接していても、安全と確認されている住宅や、無被害に見える住宅がみられた。

<氷見市~七尾市の移動中にみた被害>

  • 瓦屋根住宅が多く、ちらほらと、ブルーシートが目に入った。ブルーシートは、棟瓦部分にのみにかかっていることが多く、瓦自体が飛んでいる被害はごくわずかだった。
  • 地元の方によると、この地方では、棟瓦を多段にする家が多く、そうした住宅に、被害(ブルーシート)が目立つとのことだった。
第二次調査 (石川県 七尾市) 2024年2月9日付速報
  • 建物被害の竣工年代別の分析を目的として、石川県七尾市の調査を行った。
  • 地震による建物の被害状況(含む、無被害)の把握を目的に行った。
  • 七尾市は、最大震度が6強で、住宅被害が2月6日時点で12,326棟と報告されている。
  • 住宅の被害認定調査はまだ実施されておらず、全壊、半壊、一部損壊などの分類はされていない。
調査日 2024年2月2日(金)・3日(土)
調査地 石川県 七尾市(本府中町・一本杉町周辺・和倉町・田鶴浜町)
調査者 株式会社インテグラル 木村良行(二級建築士)、宇都野直弘

※写真の数が多いためスマートフォンでは表示できない場合があります。その場合はパソコンでご覧ください。

<石川県 七尾市本府中町>

  • 国道159号線沿いの建築物の被害調査を行った。
  • 目視による推定では、旧耐震基準(1981年以前に建築)の建物に被害が多く見られた。
  • 1階が倒壊するような被害はなかったが、外壁の割れ、剥離、脱落が多く見られた。
  • 1階は通りに面して窓が大きく取られていて、損傷しブルーシートで覆われた状態が目立った。
  • 瓦屋根の住宅が多かったが、瓦の損傷・脱落や、ブルーシートで応急処置をしている建物はほとんど見られなかった。
  • 2000年頃の建築と推測される比較的築浅の住宅では目立った損傷は見られなかった。

<石川県 七尾市一本杉町周辺>

  • 応急危険度判定は1月8日頃に行われていた。
  • ほとんどの建物が「危険」または「注意」となっており、安全とされた緑色の「調査済」のステッカーを目にすることは少なかった。
  • 建物の特徴として、長屋的な造りで隣家と外壁が接していて、通りに面した間口が2間~3間ほどで奥行が長いという建物が多数であった。
  • 全壊の基準となる建物の傾斜が1/20を超えるものが数多く見られた。ほとんどが、築40年以上で旧耐震基準で建てられたものと推測される。
  • 外壁材(漆喰やモルタルなど)の脱落、基礎の破壊などがあった。外壁が脱落した箇所の壁を見ると、仕様は土塗り壁で竹小舞が確認できた。
  • 倒壊した建物では筋かいを確認することはできなかった。
  • 2階建ての1階が倒壊したものは数棟あり、ほとんどが築古の土蔵であった。
  • 目視で築20年~30年程と思われる住宅は数が少ないが、大きな被害は無かった。
  • 隣家が傾き自宅に寄りかかった状態となってしまったという住民は、撤去を市に依頼した場合は8月頃まで待たなければならないと言われ困惑していた。
  • お寺の鐘楼が玉石基礎からずれ落ちて倒壊は免れているものもあった。

<石川県 七尾市和倉町>

  • 和倉地域の北東の海岸沿いに位置するホテル群は地盤被害が目立った。
  • 地割れ、液状化等により、海沿いの駐車場は崩落し、古いビルが沈下して大きく傾斜したものもあった。
  • ホテル群の南西側に200~300棟の古くからの住宅地があるが、応急危険度判定は実施されていない。この住宅地は、モルタル外壁の剥離や傾斜の被害が多くみられた。
  • 新耐震基準(1981年)頃に建築されたと推定される建物でも、外壁の割れ、剥離があり壁の中には筋かいが確認できたが、柱接合金物等は確認できなかった。
  • 地域の西側は丘陵地になっており、擁壁が崩落したことにより擁壁の上の建物の半分が崩落したものがあった。
  • 築30年位と思われる建物で、外壁等の被害がないものは、瓦の被害が多いように見受けられた。
  • 2000年以降に建築されたと推定される比較的築浅の建物では被害は見られなかった。

<石川県 七尾市田鶴浜町>

  • 国道249号線の北側は、のと鉄道七尾線の駅がありその奥に住宅地がありすぐ海岸が見える。
  • この地域では瓦屋根の脱落などの被害が見られた。
  • 国道249号線の南側は、北側よりも古い建物が多く密集した通りになっていて、1階が倒壊するなどの大きな被害を受けた建物が多数あった。
  • 田鶴浜町が今回の調査した中では倒壊した建物が一番多かった。
  • 新耐震基準(1981年)よりも前と思われる築古の建物が多く、通りに面した建物のほとんどが被害を受けていた。
  • 応急危険度判定がされており、ほとんどが「危険」または「注意」であった。
  • この地域も、長屋的な造りで通りに面した壁面が全て開口部という建物が多く、外壁や開口部の損傷、傾斜の被害が多数あった。
  • 比較的築浅と思われる建物で1階が倒壊してしまっている建物は、1階が車庫で全く耐力壁のない面が倒壊していた。
  • 交差点の角に3棟の住宅があり、3棟とも完全に倒壊してしまっていた。
  • 建て替えられたと思われる住宅は屋根瓦の被害程度で、その両隣の建物は完全に倒壊してしまっていた。
第三次調査 (石川県 輪島市、七尾市能登島) 2024年2月19日付速報
  • 建物被害の竣工年代別の分析を目的として、石川県輪島市や七尾市能登島、および、経路途中の穴水町の調査を行った。
  • 地震による建物の被害状況(含む、無被害)の把握を目的に行った。
調査日 2024年2月8日(木)・9日(金)
調査地 石川県 輪島市
石川県 七尾市(和倉町・能登島)
石川県 鳳珠郡穴水町
調査者 株式会社インテグラル 柳澤泰男(一級建築士・茨城県木造住宅耐震診断士)、松﨑正裕(二級建築士)

※写真の数が多いためスマートフォンでは表示できない場合があります。その場合はパソコンでご覧ください。

<現地の状況を撮影した動画> (プライバシーの観点から、画質を落としています)

<石川県 輪島市>

  • 輪島市は最大震度が7で、住宅被害が2月15日時点で8,690棟(うち全壊が2,498棟)と報告されている。
  • 今回の第三次調査の中では、最も被害の範囲が大きく建物被害も多く感じた。
  • 他の地域と比べても、地盤の隆起の量や液状化が多く、各所に段差やマンホールの隆起が生じていた。
  • 報道されていた転倒した7階建てのビル以外にも、地盤の沈下により7階建てのビルが傾いていた。
  • 戸建て住宅は築古(1981年以前)の木造建物が多く、それらの建物の大半が倒壊しているように見えた。
  • 朝市や商店街の建物では、通り側に間口が広く設けられていて、そのほとんどが開口部になっている建物も多かったと思われる。その中でも築古(1981年以前)の建物は、耐力要素の偏りから、通り側に倒壊してしまっているものも多く見られた。
  • 一方で、2000年以降に建築されたと推定される比較的築浅の木造住宅では、大きな被害は見られなかった。
  • 海岸沿いには、平成27年にできた埋立造成区画「輪島港マリンタウン」があり、多くの木造住宅が建っていて、建設中の建物もあった。周辺地域では地盤の隆起や液状化が見られる中、これらの住宅では損傷がほとんどないように見えた。

<石川県 七尾市和倉町>

  • 七尾市は最大震度が6強で、住宅被害が2月15日時点で13,689棟(分類は未判明)と報告されている。
  • 12階建てホテルの建物では、鉄筋コンクリート造特有のX型のひび割れが見られた。(コンクリートは引張力に弱いため、左右方向の繰返し荷重により、X型のひび割れ・脆性破壊は避けられないが、塑性破壊は逃れることができていた。)
  • 別の高層のホテルでは、地盤が傾いたことにより、エキスパンションジョイントで分裂し 、大きく傾いてしまった建物が見られた。

<石川県 七尾市能登島>

  • 島への2本の橋(能登島大橋・ツインブリッジのと)が通行止めとなり、一時は孤立状態になっていた能登島エリアを調査した。(調査当時もツインブリッジのとは通行止め)
  • 津波の被害もあり、船が住宅地の道路の方まで流されていた。
  • 能登島の西側半分のエリアを調査したが、特に西側海岸沿いの能登島半浦町の集落に被害が集中していた。
  • 壁内が露出している住宅もあり、これらでは、アンカーボルトが大きく曲がり土台が基礎から抜けて転倒してしまっているものがみられた。
  • 全壊してしまった住民の方の話では、『まず最初に大きな揺れが来たのでみんなで外に出たところ、さらに大きな地震が来て倒壊した 』とのことだった。
  • 建設中の木造住宅においては、まったく損傷がないように見られた。
  • 半浦町以外の地域は、瓦の損傷・脱落の被害にとどまっているように見られた。

<石川県 鳳珠郡穴水町>

  • 穴水町は最大震度が6強で、住宅被害が2月15日時点で3,771棟(分類は未判明)と報告されている。
  • 輪島市への移動途中に、「道の駅あなみず」周辺のみの調査を行った。
  • 建物は1階部分が倒壊した被害が見受けられた。倒壊していなくとも、大きく傾いているものが多かった。

<最後に>

  • 被害調査地域となった奥能登地方は、美しい里山と海に囲まれた地形であり、そこに伝統的構法の住宅が数多く残っていた。暮らす人々が地域の伝統を尊重していることが伺えた。まさに、日本の原風景とも言える貴重な景観を残している地域であった。この地域的特性を受け継ぐため、伝統的構法住宅の耐震性を向上させて復旧ができるかどうか、重要であると考えさせられた。
  • また、このような伝統的構法が多く残る地域は、能登半島に限らず、都市部を除けば、全国に多くあると思われる。伝統的構法住宅の耐震性向上のための技術力(構造用合板等を使わずに耐力を確保する方法等)が、各地域の地場の工務店や建築設計事務所に求められている。
第四次・第五次調査 (石川県 七尾市、穴水町、輪島市、珠洲市) 2024年4月19日付速報
  • 建物被害の竣工年代別の分析を目的として、石川県輪島市や七尾市能登島、および、経路途中の穴水町の調査を行った。
  • 地震による建物の被害状況(含む、無被害)の把握を目的に行った。
調査日 第四次:2024年3月17日(日)~20日(水)
第五次:2024年4月3日(水)~5日(金)
調査地 石川県 七尾市、鳳珠郡穴水町、輪島市、珠洲市
調査者 第四次:株式会社インテグラル 柳澤泰男(一級建築士・茨城県木造住宅耐震診断士)、松﨑正裕(二級建築士)
第五次:株式会社インテグラル 木村良行(二級建築士)、宇都野直弘、木間塚政人、赤澤豪樹

※写真の数が多いためスマートフォンでは表示できない場合があります。その場合はパソコンでご覧ください。

<現地の状況を撮影した動画> (プライバシーの観点から、画質を落としています)

<石川県 輪島市>

  • 輪島市は最大震度が7で、住宅被害が4月16日時点で14,816棟(うち全壊が3,824棟)と報告されている。
  • 二度目となる調査では、景観重点地区に指定されている「馬場崎(ばんばざき)」地区、「鳳至上町(ふげしかみまち)」地区を中心に調査を行った。
  • 前回に引き続き、輪島市マリンタウンを重点的に調査した。
  • 住宅の住人に話を聞いたところ、築50年の住宅に対して2007年に増築したが、増築部のつなぎ目や基礎・外壁に大きな損傷があった。(半壊)
  • 海岸沿いの「輪島港マリンタウン(2015年竣工)」内の分譲地では、築浅の住宅で地盤共に大きな損傷は見られなかった。一方、南に道路を一本挟んだ河井町一帯は、地盤が大きく陥没や隆起し築古(1981年以前の旧耐震基準)の住宅では倒壊するものが何棟も見られた。
  • 2007年の能登半島地震(震度6強)で大きな被害があり調査に訪れた、門前町道下地区を再度調査したところ、2007年の地震で、全壊に近い住宅は、建替えまたは更地となっており、建替えられた住宅は今回の地震では大きな被害は見られなかった。
    2007年の地震で、倒壊には至らずその後復旧したと思われる住宅も多く存在したが、これらは今回の地震でほとんどが倒壊や全壊に近い被害を受けていた。
  • 重要伝統的建造物群保存地区である、輪島市門前町黒島地区ではシンボル的な建物である国指定重要文化財の旧角海家住宅が倒壊した。2007年の地震後に4年かけて耐震補強を行ったというが、改めて文化財の耐震補強の難しさがあると感じた。

<石川県 珠洲市>

  • 珠洲市は最大震度が7で、住宅被害が4月16日時点で7,693棟(うち全壊が2,424棟)と報告されている。
  • 特に被害の大きかった宝立町・正院町付近を中心に調査を行った。
  • 正院町付近は、特に新耐震基準(1981年)よりも前の築古の建物が多く、軒並み全壊してしまっていた。
  • 宝立町は国道249号線を調査したが、築古(1981年以前の旧耐震基準)のほぼすべての住宅、建物が倒壊や全壊の被害を受けていた。
  • 1階が完全に倒壊し2階部分だけが残っているという被害が多く見られた。
  • 多くの住宅が瓦屋根で通りに面して大きく掃き出し開口が取られた間取りをしているため、荷重に対して耐力壁(筋かい)の量が十分でない状態であったことが推察された。
  • 無被害の築浅住宅の住人に話を聞くと、大手ハウスメーカーで2012年に新築(ツーバイフォー工法)した。周囲は地盤の大きな割れや液状化も起き、周囲の住宅は 軒並み全壊状態だが、この住宅は地盤改良も行ったこともあり全くの無被害だった。震災後3か月でまだ水道が復旧していないが、避難所ではなく自宅で過ごすことができて良かったとのこと。
  • 仮設住宅の建設も市内各地で進んでいて、坂茂氏が建物の設計をし、製材を接着剤を使わずに接合した「DLT材」を構造材として使用した現場を見学させていただいた。 床壁天井に「DLT材」を用いるため、杉の木目が常に目に映り、温もりある空間になると感じた。

<最後に>

  • 今回の能登半島地震では、多くの木造住宅が倒壊・全壊し甚大な被害が発生した。一方で半壊や一部損壊などの住宅はその何倍もの数が存在する。
  • 一度、地震の被害を受けた住宅を補修・復旧する場合は、すぐに住めるようにすることも重要だが、再度の地震が起こりうる事を念頭に置き、耐震補強も合わせて行うことが特に重要と感じた。

地震に備える

5. 耐震診断のすすめ

  • 珠洲市によると、市内にある住宅約6000軒のうち、2018年度末までに国の耐震基準を満たしていたのはわずか51%
  • 同じ時期の全国の耐震化率(87%)と比べても極端に低かった
  • 2020年の珠洲市の65歳以上の割合(高齢化率)は、石川県内で最も高い51.7%
  • 家主が亡くなったり、高齢者施設に入ったりして、市全体の2割程度が空き家になっており、手入れが行き届かずに老朽化しているケースも少なくなかったとみられる
  • こうした状況のある地域では、この機会にぜひ、耐震診断を進めていく必要があると思われる
木造戸建て住宅(持ち家)の耐震化の現状
  • これまで、1981年(昭和56年)以前の「旧耐震基準」で建築された住宅について、耐震性が不足するとして耐震診断・耐震改修が重点的に行われていました。1981年6月の建築基準法の改正で「新耐震基準」として必要とされる耐力壁の量がより多く規定されたためです。
  • その後の1995年兵庫県南部地震で木造住宅が甚大な被害を受けたことを契機に、2000年(平成12年)6月に建築基準法が改正され、木造住宅に関しては、耐力壁の配置、柱・筋かい接合部、基礎の規定が追加・強化され現在に至ります。(「2000年耐震基準」などと呼ばれています)
  • その後に発生した大地震(2004年新潟県中越地震、2011年東北地方太平洋沖地震、2016年熊本地震など)の被害調査により、2000年(平成12年)以前に「新耐震基準」で建築された住宅においても、「2000年耐震基準」で建築された住宅に比べて、比較的耐震性が低い傾向にあることがわかっています。
  • 以上より、1981年~2000年以前に建築された住宅についても、耐震診断を行うことが望まれます。
木造戸建て住宅(持ち家)の耐震化の現状
国土交通省 国総研 建築研究部 X(旧Twitter)より
国土交通省 国総研 建築研究部 X(旧Twitter)より
耐震診断とは
自宅の地震経験を調べるには

リンク:【気象庁】震度データベース

お住まいの地域の過去の地震を検索することができます。

検索例)茨城県つくば市研究学園で過去10年間に発生した震度4以上の地震

操作の手順:操作の手順

【気象庁】震度データベース-001
【気象庁】震度データベース-002
~熊本地震、能登半島地震に学ぶ~ 建築年代別木造住宅の耐震性 (一般施主向け)

能登半島地震後、「わが家は地震に強い家なのか?」と不安に感じてる方も多いと思います。

自宅の建築年代とその耐震性の関係をどなたでも理解できるように分かりやすく解説いたします。

耐震診断の説明動画 (技術者向け)

2023年3月に弊社が開催した、耐震診断と補強設計に関する動画セミナー(アーカイブ)です。

これから耐震診断に取り組もうとする方や、久しぶりに耐震診断Proを操作しようとする方にお勧めです。

【第一部】よくわかる木造住宅の耐震診断

【第二部】耐震診断の実務とフロー (ホームズ君「耐震診断Pro」による説明)

よくわかる現地調査と耐震診断 (技術者向け)

(一財)日本建築防災協会発行の2012年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」に基づいた、耐震診断における現地調査の方法を動画で解説しています。

6. マイホーム耐震診断2024

すまい手の方が、ご自身でご自宅の木造住宅の耐震性を診断できる簡易ソフト『マイホーム耐震診断2024』の無料配布を2024年1月19日より開始いたしました。下記リンクよりダウンロードいただけます。

「マイホーム耐震診断2024」操作紹介動画

7. その他の地震関連の技術情報

【気象庁】震度データベース

震度1以上を観測した地震について、地震の発生場所(震源)やその規模(マグニチュード)、各地の震度について発表した情報を掲載しています。 震度の大きさや期間、都市を指定して検索し、地図上に表示することができます。

【気象庁】震度データベース
リンク:【気象庁】震度データベース
【防災科研】防災クロスビュー

SIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)等により共有された災害対応に必要な情報を集約し、統合的に発信しているサイトです。平常時は過去の記録や現在の観測、未来の災害リスク、災害時は発生状況、進行状況、復旧状況、関連する過去の災害、二次災害発生リスクなどの災害情報を重ね合わせて(クロスさせて)、災害の全体を見通し(view)、予防・対応・回復の全フェーズを通じて活用できるシステムとなっています。

【防災科研】防災クロスビュー
リンク:【防災科研】防災クロスビュー
【産業技術総合研究所】AIによる自動検測に基づく2024年能登半島地震の余震分布

2024年1月1日16時から1月2日12時までの余震分布が、AIによる自動検測によって、作成された。データは、防災科学技術研究所高感度地震観測網(Hi-net)、気象庁、東京大学地震研究所、京都大学防災研究所による観測地震波形データを使用している。今回の地震がF43断層で起こったかどうかは、今後詳細な分析により明らかにしていく予定とのこと。

【産業技術総合研究所】AIによる自動検測に基づく2024年能登半島地震の余震分布
リンク:【産業技術総合研究所】AIによる自動検測に基づく2024年能登半島地震の余震分布
【インテグラル】計測による建物の剛性確認 (常時微動計測システム)
常時微動計測システムとは

「常時微動計測システム」は、建物の常時微動を計測するためのシステムです。計測結果より求められた固有振動数をもとに、耐震性を評価することが可能です。すまいの安心フォーラムにて貸出サービス中です。詳しくは常時微動機器貸出サービスをご覧ください。

常時微動計測システムとは
木造住宅における「東北地方太平洋沖地震」前後の固有振動数の変化について

一見、被害がなく、健全に見える建物は大地震を経験すると、耐震性が低下すると言われています。インテグラルが、大地震以前に常時微動計測を行っていた茨城県内の20棟の建物について、地震発生後に再度常時微動計測を行い、建物の固有振動数の変化の確認により、耐震性能(建物の剛性)にどのような変化があったのかをまとめたレポートです。

木造住宅における「東北地方太平洋沖地震」前後の固有振動数の変化について

木造住宅における「東北地方太平洋沖地震」前後の固有振動数の変化について
常時微動計測の動画
【インテグラル】過去の地震調査に関するレポート